第25回犯罪被害者支援全国経験交流集会in沖縄 開催

1月26日「第25回被害者支援全国経験交流会in沖縄」に参加を致しました。

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第25回犯罪被害者支援全国経験交流集会は、「犯罪被害者、遺族等の二次被害を予防するために何をすべきか~それぞれの立場から」をテーマに開催いたします。被害者等が受ける二次被害の実態を探り、二次被害を予防するための方策、および弁護士の支援の在り方について検討し、今後の支援に役立てる機会としたいと思います。

日時2024年(令和6年)1月26日(金) 13:00~17:00 【12:30開場】
場所沖縄県市町村自治会館(沖縄県那覇市旭町116-37)およびZoomウェビナーによるウェブ配信にて開催会場へのアクセスはicon_page.pngこちら
参加費参加費無料
会場参加・オンライン参加ともに事前申込制です(会場定員:先着250名)
内容(1)基調講演
   松永拓也氏(犯罪被害者遺族)、上原義教氏(犯罪被害者遺族)
(2)事例報告
    村上尚子氏(弁護士・沖縄弁護士会)
(3)講演
    佐村瑞恵氏(精神科医)
(4)パネルディスカッション「二次被害を予防するための方策及び弁護士の支援の在り方」パネリスト:松永拓也氏(同上)、佐村瑞恵氏(同上)、村上尚子氏(同上)、田仲信介氏(弁護士・沖縄弁護士会)
コーディネーター:河井耕治氏(弁護士・沖縄弁護士会)
主催日本弁護士連合会・沖縄弁護士会・九州弁護士会連合会
お問い合わせ先日本弁護士連合会 人権第二課 TEL:03-3580-9836
(出典: https://www.nichibenren.or.jp/event/year/2024/240126.html
(出典:NHKニュースHotEye)

長崎・男児誘拐殺害あす20年 被害者支援、国が主導を 当時の遺族代理人・河井弁護士

 2003年に長崎市で起きた男児誘拐殺害事件から7月1日で20年。県弁護士会「犯罪被害者支援特別委員会」は当時、3人が代理人となって司法手続きの代行やマスコミとの窓口になり、被害者遺族を支えた。その1人、河井耕治(56)=那覇市=は「犯罪被害者を支援する取り組みは一定進んだが、まだまだ不十分だ」として、国主導で総合的な支援を受けられる体制構築を訴える。  03年7月、テレビでは連日、被害男児=当時(4)=の関係先の映像が映し出され、マスコミが殺到している様子がうかがえた。「非常に激しいメディアスクラム(集団的過熱取材)が起き、明らかに遺族の平穏が維持できない状況だった」。河井らは同委員会での支援に動き始めた。  河井は同じ年の3月に設立された長崎被害者支援センター(当時)の初代事務局長。被害当事者や県警、臨床心理士らと設立に向けた準備を前年から進め、連動する形で県弁護士会に同委員会を設置。委員会でも事務局長を務めていた。  県警を通じ、遺族側に「必要であれば、われわれの方で動きます」と意向を伝えた。連絡があり、被害男児の両親らと長崎市内で面会。憔悴し( しょうすい )きった父親の様子に河井は「自分の本当の気持ちにアクセスできない状態」との印象を受けた。「非常に強い痛みや苦しみなどに襲われた人が感情をシャットダウンするのは正常な反応」だった。  「つらい事実を見たり聞いたりするのは嫌だ」「何が起きたのか知りたい」。河井によると、被害者遺族は相反する二つの心情が「シーソーの上に乗っかっている」状態に陥る。バランスは個人差があり、家庭崩壊に至ることも珍しくないという。長崎の事件は幸いにも、祖父母らと大家族のチームを形成し、支え合う関係が成り立っていた。  河井らは遺族の意向を踏まえ、定期的にマスコミに遺族の心情を伝える役割を果たした。01年の少年法改正で、遺族が少年審判で意見陳述することや審判記録の閲覧・複写が可能になっていた。河井らは手続きを進め、遺族はA4判で千ページに及ぶ膨大な事件記録を閲覧し、長崎家裁で裁判官に直接、心情を訴えた。「記録に目を通すのは非常につらい作業」と河井は遺族の心境をおもんぱかる。  「事件に関する事実と、精神鑑定の結果が公の場で公表され、教訓とすることで、安心して暮らせる世の中にしてもらいたいと切に願います」。父親は意見陳述でそう求めていた。  だが、遺族の思いを踏みにじるかのように、昨年10月、全国各地の家裁が長崎の事件を含め重大少年事件の記録を廃棄していたことが判明した。被害者の意見を聞くことなく廃棄した裁判所の姿勢に、河井は「被害者を証拠物としてしか扱っていない」と非難する。  最高裁は今年5月に調査報告書を公表し、再発防止策として国民や専門家の意見を反映させる常設の第三者委員会を設置するとした。河井は「当事者や被害者問題の専門家が第三者委に当然入るべき」とする。  事件翌年の04年に犯罪被害者等基本法が成立。本県では全自治体で21年10月までに、犯罪の被害者・遺族への見舞金支給や対応窓口の設置などを定める犯罪被害者等支援条例が施行された。ただ全国的に見ると、全自治体で施行されたのは本県を含む9県(昨年4月時点)にとどまる。  河井はこう訴える。  「条例ができれば解決、ではない。国は被害者庁を創設し、何が必要な支援か調査・検討し、全国どこにいても誰でも一律に総合的な支援が受けられる体制を構築すべきだ」 =文中敬称略=

(出典先:https://news.yahoo.co.jp/articles/cb76edc338cbda4435f4e415cd06676ffafd7b1a 長崎新聞)

最高裁、被害者の視点欠く 沖縄県内の支援団体、河井弁護士が批判 重大少年事件の記録廃棄問題

重大少年事件の記録廃棄問題について意見を述べる「犯罪被害者支援ひだまりの会okinawa」の河井耕治弁護士=26日、那覇市首里石嶺町の河井耕治法律事務所

 重大少年事件の記録が廃棄されていた問題で、最高裁が調査報告書を公表したことを受け、「犯罪被害者支援ひだまりの会okinawa」の河井耕治弁護士(56)が26日、沖縄県那覇市内で琉球新報の取材に応じた。重大少年事件に関わり、長年被害者支援に携わってきた経験から、報告書を「被害者側の視点が入っていない」と批判した。

 廃棄問題では、長崎市で2003年に4歳男児が12歳の中1の少年に誘拐され殺害された事件や、佐世保市で04年に小学6年の女児が同級生の女児に殺害された事件の記録も対象だったことが明らかになっていた。両事件とも日本社会を震撼(しんかん)させた事件だった。

 長崎県出身で、1998年から弁護士活動を始めた河井さん。02年に長崎犯罪被害者支援センターの設立に関わり、長崎市の事件は被害者側代理人の一員を務めた。佐世保市の事件でも被害者側の支援に携わった。

 報告書によると、裁判所は、両事件の記録を事実上の永久保存に当たる「特別保存」に該当するかどうかを一時検討した。しかし管理職が「全国的に社会の耳目を集めた事件ではない」と考え、記録は廃棄された。

 河井さんは「遺族は全ての事件を永久保存してほしい思い。裁判所はあっさり廃棄し、どれだけ遺族を傷つけるのか」と憤る。記録に当事者のプライバシー情報が無数含まれ、裁判所が保存認定に及び腰な姿勢に対し、「プライバシー情報の持ち主でもある被害者側の意見を聞いてほしい」と要望。事件当時幼かった被害者のきょうだいが、後に記録を通して事件を調べる可能性も指摘した。

 最高裁の調査手法なども問題視している。調査のための有識者委員会や今後設ける第三者委員会に被害者側がおらず、保存認定の過程で被害者側の関わりが表記されていなかった点も問題とみる。「無意識に差別し、当事者軽視が甚だしい」と語気を強めた。

 また廃棄問題で裁判所には、(1)保存認定の過程や基準が欠如していた環境(2)最高裁から記録廃棄を求めるようなメッセージがあった動機(3)事件の矮小(わいしょう)化という正当化―の3要素があったと分析する。この「環境」「動機」「正当化」の3点がそろうと不正が起きるとされる「不正のトライアングル」の理論が典型的に現れた一方、報告書ではその検証がされていなかった。

 報告書は、記録に「国民の財産」が含まれ、今後の姿勢として「国民目線」で意見を反映させることを強調する。だが、河井さんは「国民の目線を考える前に、被害者の目線を考えてほしい。廃棄された事件の全ての当事者に直接おわびする観点も抜け落ちている」と非難した。

(金良孝矢)

(出典先:琉球新報 2023年5月28日 https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1718540.html )


犯罪被害者に見舞金 沖縄県が支援計画案 二次被害の防止などを軸に

沖縄県庁(資料写真)

 沖縄県はこのほど、「犯罪被害者支援等計画案」をまとめた。犯罪被害者の損害や精神的・身体的被害の回復、二次被害の防止、県民への理解促進など六つの基本方針を軸に、80の具体的施策を明記した。今後、知事決裁を経て5月までに策定し、公表する。期間は2023~27年度。国の施策や社会状況の変化に合わせて見直す。

 県は22年7月に「県犯罪被害者等支援条例」を制定後、有識者や支援団体などで構成する審議会を設立。県民の意見募集を経て、3月29日の審議会で計画案を承認した。

 計画案では、事件後に速やかに見舞金を支給する制度を新規で設けており、24年度の予算要求に向けて審議会に諮る。事件後に転居を余儀なくされる事例もあるとして、同制度とは別に移動費用などの経済的負担を軽減する施策も検討する。

 実効性のある支援体制をつくるため、総合対応窓口を設けている市町村との情報共有を図るほか、県犯罪被害者等支援アドバイザーによる出前講座などで実務面を助言していくという。県や市町村の担当職員用に配布していたハンドブックも約10年ぶりに大幅改正する。県消費・暮らし安全課によると、他県では当事者アンケートを通して支援体制を検証する例もあることから、県でも犯罪被害者の状況や支援などの事例検討を積み重ね、審議会の助言を得ながら改善していくという。

(嘉陽拓也)

(出典:琉球新報 2023年4月8日 https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1691242.html

犯罪被害の苦しみ共有 那覇 支援考える円卓会議 遺族や専門家ら 制度つなぐ啓発重要■市町村取り組み進まず

 犯罪被害者の境遇を見つめ、当事者や被害者家族らへの支援の在り方を考える地域円卓会議がこのほど、那覇市の県総合福祉センターであった。事件事故の遺族や支援者、専門家らが思いを語り、支援が行き届かず孤立しがちな犯罪被害者らの実情を共有。癒えない悲しみや苦しみを抱える被害者や遺族らの思いを自分事と捉えて支える社会の実現へ理解を求め、自治体や関係機関などに求められる支援について意見を交わした。(社会部・新垣玲央)

 「あの事故で、私の人生は全て奪われた」。2019年4月、東京池袋の乗用車暴走事故で娘と孫を亡くした上原義教さんは言葉を詰まらせた。当時は、突然の連絡を信じることができないまま東京へ向かった。「何かの間違いであってほしい」。そう言い聞かせながらたどり着いた娘の自宅前には、多くのマスコミや警察官ら。気が動転し現実を受け入れられないまま、変わり果てた2人と対面した。

 眠れない日々が続き、職場も行けなくなった。部署を変えるなど会社は助けてくれたが、仕事が手につかず退職。裁判の関係などで何度も東京へ足を運び、住宅ローンも残る中で経済的にも苦しく、マンションを手放した。将来、娘家族と一緒に住もうと話していた家だった。

 「時間が解決してくれる」などと励ましの言葉も受けたが、「忘れることなんてできない」。沖縄に来ることを楽しみにしていた娘や孫を思い「何もしてあげられなかった」と声を落とした。

 「犯罪被害者支援ひだまりの会okinawa」の河井由美代表は05年2月、自衛官による強盗殺人事件で夫を奪われた。0歳と3歳の子を抱えながら会社を継ぎ、生活は激変。眠れない、食べられない、仕事に行かないといけない-。県内に頼れる支援団体はなく、県外の自助グループを知って救われた。「沖縄にも自助グループが必要だ」と自ら立ち上げた。

 犯罪被害当事者や遺族らの中には数十年たっても語れない人もおり、「支援が行き届いたかどうかで回復の過程は変わってくる」と河井代表。

 昨年7月に施行された県犯罪被害者等支援条例に基づき、県が見舞金制度や休業支援など支援計画の策定を進めていることも説明。自身も審議会委員として関わっており「県民への啓発活動も積極的にやるべきだ」と述べた。

 福岡市の高木久志さんは18年に交通事故で息子を亡くした。喪失感や怒り、悔しさを抱えながら「避難場所」を自力で探し、ひだまりの会に出合った。当時、警察や自治体から被害者支援について説明はなく「積極的に放置された」。被害直後から、当事者や遺族らを支える取り組みも重要だと訴えた。

 審議会委員で、県犯罪被害者等支援アドバイザーで沖縄被害者支援ゆいセンター前事務局長の池原泰子さんは、全国的な支援ネットワークや制度も生かせるとし、支援につなぐ広報啓発の重要性を指摘した。

 会議は那覇市議会無所属の会などが主催し、精神科医の佐村瑞恵医師らも参加。「市町村での取り組みが進んでいない」と指摘した前泊美紀市議は各自治体が条例を制定し、理解を広げる必要性を語った。

(写図説明)当事者や支援者らを交え犯罪被害者の境遇を考え、支援の在り方について考える犯罪被害者支援地域円卓会議=3月18日、那覇市・県総合福祉センター

(出典:沖縄タイムス2023年4月6日 https://www.okinawatimes.co.jp/articles/gallery/1131223

「今ごろ一緒に住むはずだったのに…」事故で娘と孫を失った苦しみ今も 那覇で犯罪被害者支援シンポジウム 遺族の男性が語る

 犯罪被害者を支援する「ひだまりの会okinawa」(河井由美代表)は10日、那覇市のパレット市民劇場で「孤立させない、途切れのない被害者支援とは何か」と題してシンポジウムを開いた。犯罪被害の当事者遺族らが招かれ、それぞれの経験を語った。

 シンポジウムに参加した上原義教さん(64)は2019年4月、東京都池袋の交差点で高齢者が運転する車が暴走した事故により、県出身の娘と孫を亡くした。「事故から3年たったが今もつらい。本来なら今ごろ一緒に住むはずだった」と心境を語った。事故後は、裁判の手続きなどで沖縄と東京を行き来し、経済的な負担がのしかかったという。

 講師として参加した東京都中野区役所の犯罪被害者支援相談窓口を担当する稲吉久乃さん(58)は「関係機関があらかじめ連携し、被害者を中心とした支援をしていくことが必要だ」と語った。

 シンポジウムの録画は9月1日~10月末に視聴可能。詳細は「ひだまりの会okinawa」ホームページで確認できる。

(金城大樹)

(出典:琉球新報2022年8月12日 https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1565156.html